私のデザインの源泉<私の里山「松茸山の記憶」>

(私がまだ生まれる前の写真)
私が小さい頃、実家の地域では夏が終わると松茸山の入札がありました。
松茸が出るか出ないか、賭けのような入札ですが
この時期のイベントとして私の家は山の入札に参加していました。
いよいよ松茸収穫の時期をむかえると、落札した山にゴザを敷き
七輪を据えて、季節限定の「山の中の離れ座敷」を作り
松茸のすき焼きを提供します。
この山の中の座敷そのものもユニークですが
すき焼きの材料がなくなった時の調達の仕方がまたユニークでした。
この山は、家の裏庭から見えるところに位置していて、そろそろ材料が
無くなるかな、という頃に裏庭に出て山の方を見ます。すると、
山にいる人は白い旗と赤い旗を持っていて、肉が足りなくなった時は赤旗
野菜がなくなった時は白旗を振り、持ってきて欲しい食材を知らせます。
それを見て実家の店から山に食材を届ける。というシステムです。
現在なら、携帯電話で連絡するか山に発電機と冷蔵庫を持ち込めば事足りる
のでしょうが、白旗/赤旗でおこなう子供の遊びの延長みたいなやり方の
ほうが、なぜか大人っぽい楽しみ方に感じてしまいます。