私のデザインの源泉<私の里山「庭の記憶」>

(2歳の頃の私)
実家は、滋賀県甲賀郡(現 甲賀市)で、創業弘化2年(1845年)の
料理旅館でした。
そのため家には池を設けたけっこう広い庭があり、
私は、その庭の水やりが小さい頃好きでした。
水やりで苔の増やし方を知った時などは面白くて仕方ありませんでした。
剪定は庭師の方にお願いするのですが見よう見まねでツツジを刈り込むのも
楽しかった想い出です。
この庭には店の料理に使われる植物がたくさんありました。
煮物に添える山椒、天ぷらを飾る松の葉、紅葉の葉、シソ、クマ笹、桜。
春には,家の食卓にあがる土筆、ふきのとうも芽を出しました。
池の水は地下水で、店の食材にするにはサイズが小さかったりする鯉、うなぎ、鮎が泳いでおり、小さい頃はそこで釣りの仕掛けを試して魚がえさを
食べる時のウキの動きなどを観察したりしていました。
その頃は、庭から食材を採ったり、庭の手入れをしたり釣りをして遊んだり
することは、ごくあたりまえの事のように思っていましたが、今となっては
家の中まで里山が入り込んだ暮らしをしていた事に気づかされます。
この庭の記憶は、私にとっての「里山を感じる暮らし」の一つの姿です。

こころが落ち着く植物のひとつ、苔をモチーフにした作品